今日は、某塾大学進学希望層の高校生を対象に実施した意識調査のアンケートや近
年のセンター試験・大学入試、大学の学部再編の状況、高校教員アンケートなど様々な状況を踏まえながら、近年の高校生や大学の動きなどを説明します。
Contents
私立大学を取り巻く環境の変化
様々な角度から、説明したいと思います。
学部系統の人気の変化
大学の学部系統の人気の変化は、社会的背景が大きく影響しています。
現在は3つの環境要因(大企業を中心に景気回復基調、オリンピック特需・訪日外国人増、学生の就職状況好調)によって、
2015・2016年度は文系学部の人気が復活し、特に国際系が好調、一方理学・薬学系学部は不人気。
一般的には、大学生の就職状況が良くなると、文系学部が人気となり、悪くなると理系学部が人気になる傾向があります。
大学の志願者数
大学の志願者数は、2017年度は微増(p.23)。近年の私立大学の総志願者数は、2006年(志願者293万人)から2015年(志願者355万人)まで、ほぼ毎年増加しています。
18歳人口が減少する中で、志願者数が増加しているのは、大学の受験方式が多様化し(web出願やセンター利用方式など)、一人一人の受験回数が増加しているためです。
大学によっては、入学検定料(受験料)だけで数億、数十億円の収入を得ている法人もあります。(例えば早稲田大学は2015年で40億円、、、)
私立大学の定員状況
私立大学の定員割れの状況は、2016年度で45%(257校)。ほぼ半分の大学が定員割れを起こしています。
その一方で、定員超過を起こしている大学も多く存在し、超過を抑制する動き(定員8000名以上の大学には定員の1.1倍までしか入学させることができない等)があります。
2017年度に定員を大幅に増加させる大学もあり、関西エリアでは、近畿大学が920名、龍谷大学が154名、立命館大学が472名、追手門学院大学が110名と、100名を超える規模での定員増を行う大学が多く存在します。
京都・大阪のエリアだけでも、計2146名の定員が増える計算となります。
キャンパス移転・設置の動き
以前は大学のキャンパスを校外に移転させる流れが主流であったが、2013年頃からキャンパスを校外ではなく、都心に移転・設置する都心回帰が起こり、先導した大学が、次々と志願者前年比大幅増となり成功しています。
京都エリアでいえば、京都美術工芸大学工芸学部では、京都東山キャンパスを開設し、前年
比209%の増加。キャンパスが、学生にとって便利な立地にあるのかどうかが重要となっています。
高校生の意識調査〜河合塾生アンケートより〜
河合塾が2016年春に実施した河合塾に在籍する受験生への意識調査の結果のご紹介です。
全体では上記のような数値となっていますが、男女比較を行った場合に特徴的なものは、女子は男子に比べ「希望する資格・免許を取得したい」という理由の選択率が高いということも注目ポイントです。
全体では上記のような数値となっていますが、男女比較を行った場合に特徴的なものは、全体では4位の「就職実績」が、女子では5位に後退し、全体で6位の「学生の雰囲気」が4位となり、「就職実績」よりも「学生の雰囲気」を重視していることが分かります。
また、20年前と比べ、進学先の「就職実績」を重視するという受験生が増加しています。
受験生の傾向〜高校教員アンケート結果より〜
河合塾さんのデータを用いて紹介します。
推薦・AO入試を積極利用したい受験生は増加傾向
全体の約6割の受験生が、可能であれば一般入試までに進学先を決定したいと考えており、早期に進路の決定を望む志向が強まっています。
短大を含めた「大学」への進学志向が強い状況
大学・短大より専門学校を選ぶ傾向については、「弱まっている」「やや弱まっている」の「弱まる」傾向が32%と、「強まっている」「やや強まっている」の「強まる」傾向の7.9%を大きく上回っており、短大を含めた「大学」への進学志向が強い状況が窺えます。
奨学金の活用を考える生徒の増加
奨学金の活用を考える項目では、「強まっている」「やや強まっている」の「強まる」傾向が72%となり、
奨学金を活用したいと考える受験生はますます増加傾向にあります。
進路選択・決定における保護者の意向の強まり
こちらの項目では、「弱まっている」「やや弱まっている」の「弱まる」傾向はほとんど見られず、子どもの進路決定に保護者が深く関わる傾向は年々強まりこそすれ弱まることはない様子です。
最後に
河合塾生の高校生の意識調査アンケートによると、大学受験層の女子は志望校を決めた理由として、「就職実績」よりも「学生の雰囲気」を上位にあげています。
このアンケートは大学受験層の回答結果であるが、「学生の雰囲気」を重視する傾向は非常に重要なポイントであると感じます。
しっかりと最近の学生気質を見極めて、大学での募集につなげていくことが必要ですね。