京都マイラーです。
最近、厚生労働省主催のもと全国各地でテレワークの体験型シンポジウムが開催されています。
実は、社内で「テレワークプロジェクト」なるものを立ち上げまして、
どうしようかな〜と人事担当者としてテレワークの制度について勉強、社内で制度化を模索しているところです。
政府の「働き方改革実現会議」でもテレワークが議題として取り上げられるなどテレワークに対する注目度は高くなっています。
また、政府4省(総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)主催の「テレワーク推進セミナー」が東京で開かれるなど、その促進に政府も力を入れていることが伺えます。
本記事ではどうすればテレワークを実現できるのか、考察してみたいと思います。
「テレワークを導入すると社員間に不公平感がでないか」「労務管理をどのように行っていくのか」なども焦点になってきます。
Contents
テレワークの導入事例について
なぜテレワークなのか?ということですが、
現在我が国における労働力人口の減少、女性の育児休業中の活躍、優秀な人材を確保するためにもテレワーク(在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務)が注目されています。
週に8時間以上本拠地のオフィスを離れて仕事をする人は2015年には、全労働者の13.3%、約790万人となっています。
具体的にテレワークを制度として導入している企業は16.2%で中小企業ほど導入率は低いということで、大手企業は比較的導入していることになります。
現在、導入に向けた支援として政府が主導となり、以下のような取組が行われています。
例えば、以下の通りの取り組みです。
- テレワーク推奨モデル構築の実証事業
- セミナー・シンポジウムによる普及啓発、表彰制度の実施
- テレワーク相談センターの開設
- テレワークの専門家無料派遣
- 職場意識改善助成金(テレワークコース)制度導入
「職場意識改善助成金について」
助成金もあります。ただし、助成対象は中小企業のみです。
学校法人の場合は労働者数100人以下の法人が対象になります。
小規模の専門学校とかなら対応できそうですが、私のように学生数が1万人を超える法人だと、
この助成金は難しいですね。
テレワークの導入に向けて
テレワーク導入に向けては経営トップの理解とリーダーシップが重要です。
経営トップはもちろん、各管理職の理解が必要にもなります。
最初は育児・介護休業者に限定していても一般職に拡大しないと、育児期や介護の必要な家族を抱える社員もテレワークを実施しづらいでしょう。
また、社員の不公平感を解消するためにもできるだけ対象を拡大することが望ましいとされています。
テレワークの導入企業事例①(コンサル会社)
これはあるコンサルティング会社の事例です。
この会社は、法律で定められた税務関係や社会保険関係、契約書等を紙資料として残すのみでほとんどの資料を電子データ化しています。
全国各地に拠点があり、常時拠点間はネットでつながっており、WEBカメラを使用しWEB上で会議が可能、WEB活用とペーパーレス化の実現で全国各地に拠点を作る「スマートオフィス化」を実現したとのことです。
ここがポイント!
主な事業がウェブデザインやシステムソリューションの提案で比較的テレワークは導入しやすい業態であることはもちろん、テレワークの実現に向けて「ペーパーレス化」に力を入れ、いつでもどこでも電子データで情報を確認したり、申請手続きを過去の資料を参照したりして手間を省いているとのことです。
テレワークの導入事例②(広告会社)
ある広告会社では、新入社員や病気中のものをのぞく全員を対象にリモートワーク(テレワーク)を実施しています。
場所はオフィスに呼び出されたときに2時間以内に出社できる場所ということの縛りはありますが、(自宅はもちろん、喫茶店などでも就業可能)週1回は必ずミーティングを対面で実施しているなど、フォロー体制も万全です。
なお、リモートワークの有無は事前に決定し、メールで周囲に連絡を行っているが、リモートワークを行うにあたっては上司が事前に判断をおこなっているそうです。
導入にあたっては「意識改革」に注力され、
①管理職の意識改革として社長自らがリモートワークの必要性を管理職に説明
②有識者を交えて管理職に向けた講演を実施
③ルールとマナーを徹底するべく、手引きを作成し全社員に配布(手引書も要点だけまとめて、なおかつ社員が興味を持つように社長の顔をイラストとして採用した)
全組織を巻き込んだ意識の醸成を可能にされました。
なお、リモートワークの導入とともに、社内をフリーアドレス化したり、社内カフェを設置することによりコミュニケーションが疎遠にならないよう注意したとのことです。
ここがポイント!
導入においては「まずは管理職の意識改革」という視点からトップ自ら管理職に向けてテレワーク導入に向けて話をするなどトップダウン方式で全体を巻き込んだとのこと。
対象も全社員(新入社員や病気中のもの除く)としたのも、育休・介護休業取得者だけを対象とすると不公平感にもつながるし、なにより、育休・介護休業取得者が遠慮をしてテレワーク制度を利用しないのを防ぎたかったということで、入念な準備の姿勢が伺えます。
テレワーク実施の際の労務管理の注意点
現在、テレワークを行うのに特別な法律はありません。
強いていうなら、「在宅勤務ガイドライン」を厚生労働省が策定しているくらいでしょうか。
テレワーク勤務を導入する前に、既存の就業規則を変更する必要や労働条件でルールを決める必要があり、
項目を洗い出し、就業規則に盛り込むか別個の規程を作成するかを検討する必要はあります。
なお、テレワークの勤務規程は就業規則の一部とされ、当然ですが所轄労働基準監督署への届出が必要となります。
テレワークを実現するにあたっては勤務時間をどうやって確認するかが企業にとって課題になるでしょう。
多くの企業ではメールや電話で始業と終業の報告を上司に報告させています。
また、「みなし労働時間制」を活用することも効果的です。
なお、事業所として健康配慮義務があり、テレワークで事業場外で勤務する場合でも作業環境や長時間VDT作業による疲労の蓄積に対し配慮しなければなりません。
「在宅勤務適性チェックリスト」「疲れにくいパソコン作業の早見表」などを作成しテレワークを行う労働者に周知、指導することが求められます。
その他考えられる課題
「情報セキュリティの確保」という点では、端末を仮想化したりリモートデスクトップで操作することである程度課題を解決できると思います。(ただし導入にはそれなりのコストが必要ですが)
また、「適正な労務管理」という点では、端末へのアクセスログや、報告書、個別の連絡(電話やメール)等予算や実状に合わせてシステムを作れる気がします。
「コミュニケーション」という点では、WEB会議やバーチャルオフィスを使って、拠点間をつなぐことで対応が可能になります。
これらの対応方法を組み合わせて、テレワークの実現ができそうです。
いかがでしたでしょうか?
早速、自社でのテレワークの導入に向けて、準備していきたいと思います。